当て出し保存版 前編
これまでに当て出しに関しては軽く記事にはしてきましたが、もう一歩踏み込んで考えていきましょう。
ちなみに…
B級上位より下のレベルの人は知らなくて問題はないですが、当て出しが思い通りいくと最高に気分が良いので読んでみるのも一興でしょう。
当て出しと言えばこんなのをよく見かけますね、
撞点は…とりあえず逆系統と言っておきましょう。
まずは小手調べです。
図のように9番のシュートラインに対して垂直なライン上に的球があるとして、9番に手球が無回転で当たるように撞きました。
10番に全厚で当たった後の手球の挙動はどうなるでしょうか?
的球からのもらいひねりで手球は少しの左回転をしていますが、上下の回転はしておりません。
これはイメージしやすいでしょう、結果として手球は10番に対するイメージボール位置でストップしますね。
では今度は手球は押し回転がかかっていて10番に当たる状況です。
10番に対するイメージボール(以下第2イメージボール)と90°分離のラインを描いたのが上図です。
手球はどのように動くでしょうか?
手球の回転を完全に無視(手球が無回転だと仮定)すれば第2イメージボールからの90°分離ラインに乗るのは想像に易しいですね、
けれども手球には押し回転がかかっています。
その方向は上図で追加された矢印方向です。
これは
手球〜第1イメージボール間を結ぶラインと平行になります。
図中の2番はこれとこれが平行だよ、っていうだけの目印ですのであんまり気にしないように。
↑こういうの見たことありますよね、PQ.BCが平行だって表してる記号とおんなじ扱いです。
さて、手球の回転を考慮した上での実質の手球の進行方向はアバウトに描くとこんなもんです。
無回転で進むであろう方向が手球の回転によって修正を受けているってだけです。
じゃあ常にこの二つのラインの中間くらいに動くと思えばよいのかというとそうではありません。
これは手球の回転量と10番に当たった後の手球のスピードの比率に影響されます。
なんだか難しい話な気がしますが、大した事は書いていません。
単純に考えると手球が10番に厚く当たるか薄く当たるかだけです。
厚く当たる→手球スピードの減少は大きい→回転による方向修正は大きい。
薄く当たる→手球スピードの減少は小さい→回転による方向修正は小さい。
つまり、
このように10番へ厚く当たれば押し回転によるライン修正を大きく受けて90°分離ラインから大きく離れ、
このように10番へ薄く当たれば押し回転によるライン修正がさほど無いので90°分離ラインからはほとんど離れない。
これだけの話です。
薄めの球では押し引きの影響が小さいという普通の知識を適用しただけですね。
つづく、
次回はもう少し掘り下げていきます。
応用力
散見されることなのですが、その場その場でのポジション力はあるのにちょっとの変化に対応できない人が多いです。
四角い頭を丸くするって大事ですね、某小学生向けの塾のキャッチコピーですが何事にも必要です。
こんな順での出しはよく見かけますね、順系統の出しはなかなか応用に溢れています。
ちょっと引きを多めに入れてやればこんな風に出すことができますし、
全く同じラインでこんな位置のネキにポジションすることも可能です。
力加減を考えればこんなライン出しもできます。
ズバッと撞いてこんな出しもできます。
出しのバリエーションは非常に多く存在しますがそれぞれが完全に独立したものであることはさほど多くはありません。
ある特定のラインをちょっといじるだけで派生のラインが生まれるもんです。
この傾向は特に撞点が順系統の出しで顕著です。
なので初心者ほど順系統の出しから学んでいった方がバリエーションを増やすための近道になりやすいです。
このような逆上での出しも大事ですが、応用はあまりききませんね。
シュートの問題やらなんやらも含めて出しを覚える段階では特に順系統の出しから覚えてみるのをオススメしておきます。
ひっかけで守る
ひっかけと言うと入れの手段の一つくらいとしか思っていない人は多くいると思います。
今回はひっかけの有用性について少し話をできたらな、と思っています。
さて、とりあえず次の図を見てください。
ありがちな少し困った場面です。
攻めるなら間違いなくバンクでしょうね、
ちょっと順を切ってこんなラインでポジションできたらいいな…
って感じです。
バンクが成功するかどうか、ポジションが成功するかどうか…
なんてことを考えると難易度は自ずとわかりますね。
9番に当たってしまうと運が悪ければ左下コーナースクラッチ、そこまでいかなくても下の短付近に手球がいきそうですね。
よほど自信がなければ守る配置だと思われます。
では守る選択肢はどのようなものがあるでしょうか?
…
一番に浮かぶのはこのような短短に離すセーフティでしょう。
これが無難ですが、手球の位置や的球の浮き具合などの微妙な違いによって難易度は大きく変わります。
こんな発想はどうでしょうか?
前クッションからひっかけてのセーフティです。
図のような場面ですと完全に隠すということは難しいですが、隠すだけがセーフティなわけではなく、難しく残すこともセーフティです。
まぁ、図の配置ですと最初の短短セーフティが良いと思いますがね。
上図でひっかけセーフティをかますと相手の技量によっては鬼畜なセーフティがかえってくる可能性が十分にあります。
けれどもこのような状況ではどうでしょうか?
けっこう有効な気がしますね。
C級の女子とやっているとこんな残念な配置になることも多々あったりします。
右の薄めから長短で4番とクッションの間を抜いてセーフティも可能ですが、配置の微妙な違いでそれが難しかったりしますね。
ここまでは的球が見えてる状況でしたが見えていない状況でもこれは効果を発揮します。
上図のようなセーフティが決まればもうこのラックはいただいたようなもんですね。
注意点としてはノークッションファールをしないように…
ということです。
モメるとだるいのでファールするか怪しかったら近くの暇そうな人にジャッジをお願いすると良いです。
これ、わりと知らない人が多いですが定番です。
ジャンプによほど自信があれば跳ばしても良いですが、入れと出しの成功が伴わないですね。
右の長クッションからのシュートも状況によってはありでしょう。
ギリギリ見えていないこんな状況です、どうしますか?
入れる心意気は認めますがだからなんだって感じですね。
自信があれば右下で気合いの引きひっかけも良いでしょう。
難易度を考えて上記の成功率が低いなら厚みだけを意識したこんなセーフティもアリでしょう。
難所を見極める5
久しぶりのシリーズですね。
難所を見極めるということですので難しそうなところを考え、処理の仕方も考えていきましょう。
今回はこんな配置です。
トラブルは特にありませんがトラブルなんて無くても難しいもんは難しいのです。
…
4番がちょっと難しいですね、
3からポジションするのにかなりピンポイントなクッションの狙いが必要かつ4番が全厚になってしまうと5への出しが厳しいです。
6の上付近にポジションしてカットしても良いですが非常に撞きづらい&シュートが難しいです。
そこで上図のように処理してみます。
…やっぱりしません。
見てもらえればわかりますが、4番に当てる厚み、力加減、諸々と難しいです。
さらに新たなトラブルが発生しそうな気配もありますのでやめておきます。
上図みたいになれば良いけど思い通りにいくことなんて大して無いもんです。
とりあえず4番を放置して3に出してみます。
点線のように厚くなりすぎたり、実線のようにだだ被りするのはやりがちですね。
技量によりますが、出せるならちゃんと出した方が良いです。
攻めのセーフティをしてみる。
さて、セーフティするのは簡単ですね。
テキトーにストップでもしておけばファールは取れそうな気がします。
けれどもフリーボールをもらったところで3から4がこなせなければしょうがないです。
長々書いてますが的球の走行距離を考えたストップショットをしましょうか、
上図のような位置までもってこれれば次がフリーボールならば振りを保ったポジションをするのはそこまで難しくないですね。
相手と自分の技量と相談してやることを考えるのも大事です。
はい、次にいきましょう。
こんな配置です。
同じように難所の見極めと処理を考えてください。
…
4から5が肝です。
図のように逆振りになると致命傷になる可能性が高いです。
一応ここからのポジションを描いてみましたがどちらも簡単ではないですね。
4を右下にとるのはちょっとセンスが無いのでダメです。
左サイドか左上コーナーでしょう。
どちらのゾーンも描いてみるとかなり被ります。
複数のポケットへ狙う目があり、ゾーンが被るならポジション許容範囲はわりと広いです。
ここでは図のようにポジションします。
下の短にクッションさせればわりと力加減の幅はありますね。
ここから出たところでコーナーからポジションしたり、
サイドからポジションしたり
上図3〜4番のような出しは無難なことしかしないB級はほとんどやりませんが手球を走らせることがいつでもリスキーなわけではない良い例ですね。
そのうち書きますが、遠ざかるようなライン出しもとても大事です。
1球から考える
成功体験というのはどんなことでも大事ですが、それだけでは駄目であって失敗体験から学ぶことも必要です。
あるショットをミスしたときに次回の対応策を考えられる人は上達が早いです。
さてこんな配置です。
図のような出しを考えてトライしてみます。
いざ撞いてみたところロングしてしまいました。
さて、ミスした原因は一目瞭然ですね。
言うまでもありませんが力加減が強かったですね。
じゃあ次回はもう少し弱く撞いてみよう、というのも必要ですがそもそも今の考え・選択が正しかったのかどうかまで考えてみましょう。
…今のミスショットよりも弱い加減で撞くことができますか?
できなくはないでしょうがあまりに強いショットや弱いショットは難しいですね。
では無理に殺さないで自然に走らせてみましょう。
縦バタなんかどうでしょう?
殺すよりも幾分かはやりやすそうですね。
ならばこれで決定!
というのは安易ですね、この選択のリスクを考えてみましょう。
右下やら右上やらにスクラッチしそうな雰囲気がありますね。
さらに走らせる距離の長いバタバタでは正確にポジションするのもなかなか難しいのでミスも生じやすくなります。
スクラッチを躱す技術も上にいくためには当然必要ですが、他のことも考えてみましょうか。
逆を切ってこんな風に出しても良いでしょうね、
まあ、この出しにしても少なからずリスクはありますが力加減的にはだいぶ撞きやすいでしょうね。
成功しても失敗してもより楽な方法はないのかと考えていれば上達も早まるでしょう。