トビのメカニズム2
前回に実際にはトビは撞点だけによって決定されるわけではないと書きました。
これのわかりやすい例としてミスキューがあります。
同じ右の撞点を撞いてもチョークを塗った場合とそうでない場合(ミスキューの場合)とで、チョークを塗った場合は狙い点よりもやや左にコースはズレ、ミスキューした場合は狙い点よりも大きく左にズレることは経験としてわかるでしょう。
今回はトビのメカニズムとして叩くような撞き方の話をします。
一般に叩く撞き方は良くないと言われます。
この解説をしていきましょう。
シャフトは剛体ではないので、中心から離れた撞点を撞いた場合に図のようにしなりが発生します。
手球の回転は同一撞点においてはタップの接触時間に依存します。
勘違いしてほしくないのですが、インパクトした撞点とタップが離れる瞬間の撞点は見かけ上は同一ではありません。
このように下2の撞点を撞いたとしても、
球離れの瞬間には見かけ上ではそれよりも下の撞点を撞いたように見えます。
タップと手球の位置関係はインパクトから球離れの瞬間まで変わりません。
中心から離れた撞点を撞いた場合にシャフトがしなることによって手球とタップの接点は移動せずに回転を効率良く与えます。
要するに、
シャフトがしなることによって回転量が大きくなるということです。
つまり、叩く撞き方はしなりを活かせていないため回転量が落ちてしまうのです。
またこの図に戻ります。
黒ベクトルと太黒ベクトルの長さは同じだと仮定します。
シャフトがしなることによってインパクトの瞬間と球離れの瞬間では青と赤のベクトルの長さの比は変化します。
作図するのがめんどくさいので端折りますが、トビによる手球の進行方向はインパクトの瞬間から球離れの瞬間までのタップが手球に与えるスロウとそれぞれの撞点による手球のトビの方向の無限に微小な時間におけるそれぞれの合成ベクトルのさらなる合成によって決定されます。
先ほどのこの図の太赤ベクトルが上で述べたそれぞれの合成ベクトルです。
インパクトから球離れの瞬間までのこの合成ベクトルを無限に微小な時間におけるそれぞれの合成ベクトルをさらに足し合わせることで正確な手球の進行方向が決まるのです。
要するに、
インパクトから球離れまでの時間が長ければ長いほどトビは減る。
ということです。
つまり叩く撞き方は球離れが早いため、回転量が落ちトビも増えてしまうのです。
これらからしなりが大きければトビが減少するという結論が出せるでしょう。
世のハイテクシャフトの多くがしなりを大きくすることでトビを減らしています。
しなり=キュー先の逃げ ですね。
特にここでハイテク云々を書くつもりはないのでこれで終わりにします。
つづかない。